やっぱりこわい
私はとても怖いし、悲しい。
でもパパはもっと苦しんでいる。
最近テレビを見ていても、内容がよく理解できていないのが、 よくわかる。
パパは、認知症によって、脳細胞の数が少なくなっているので、 なにかを理解するにもとても時間がかかる。
頭の中のネットワークがすごく遅い感じ。
私は、話をする時は、センテンスを短く切って、 一つ一つをイメージしやすい様に話しているつもり。
ところが、 ママは相変わらず主語のないおばさんとーくを繰り広げるので、 パパはいつも困惑している。
でも困惑していることを知られない様に、 わかったフリをしているのがほとんどなんだろうな。 私もママの言っていることほとんどわからないし苦笑。
何時間か一緒にいると、パパの頭の中で「わからないなぁ」 という思いが積み重なっていっているのがわかる。
辛いだろうな。
パパは本当に辛いことを口に出せる様な人ではないことも私はわか るので、尚更見ていて心が痛くなる。
一緒に食事をして、数時間過ごしても、 ママが電話しまくっていたり、 自分がない胃が白にされたと感じる時間が長いといきなりキレる。
突然私に、
「帰れ!ここに来るんじゃない!」
と大声でどなられる。
頭では理解しているけど、すごく体の大きなパパが迫ってくるとすごく怖い。
それにね、やっぱりお父さんに怒鳴られたら、怖いし、悲しいよ。
急いで鞄を持って逃げる様に玄関を出ると、
「気をつけて帰れよ」
とパパは言う。
認知症だからといって、全部がわからないのではなく、 マダラでわからないところと普通に機能しているところがある。
「気をつけて帰れよ」
の中には、色々な思いが入っているのだろう。
私がそそくさと用意をして帰る様子で、 自分がなにかをいってしまったかもしれないと思うみたい。
仮に暴言を吐いても、内容は忘れてしまうけど、 その感情だけは頭に残るのだそうだから。
その一言を聞くと、きっとパパは苦しんでいるのだろうなと思って
胸が痛くなる。
私が出来ることがなんなのか、いつもいつも考えている。
答えは、毎日違うので、その時に応じてトライするしかない。
いつかパパはわたしのことを全くわからなくなる時が来るかもしれ ない。
でもパパはいつまでもパパだ。
パパ、命のある限りお互いに頑張ろうね。
応援してるからね。