決断の時 ②
まだ7月の梅雨が明けない曇り空。
「ママが倒れたら、パパは共倒れになるのよ」
ママの限界は数か月前に超えていた。
でも自分では、パパを背負う!という使命感を持っているから
全然自覚できないみたい。
「もうすこし人のヘルプを入れましょうよ」
ママは施設には絶対に入れたくない。
それは私も理解できるし、「入れてしまう」という罪悪感たるや
押しつぶされてしまいそうになる。
ラッキーなことに、ケアマネージャの方が便の良い施設を紹介してくれた。
そこの施設長さんが、わがままなパパのことを理解してくれて、
いつでもいらしてくださいと言ってくれ、
ママと私はほっとした。
私はママにある提案をした。
「パパを”施設に入れる”のではなく、”施設を使う”ことにしましょうよ。
昼間は一緒に今まで通り暮らして、夜寝るのはそちらに行く。
でね、施設、とかホーム、ではなくて、”別邸”と考えましょうよ。」
「そうね。。
別邸。
月のうち半分を家で過ごせたらいいかしら。
それなら、いわね。」
ママが決断した。
今の時代は、施設に入れる、ということではなく、
施設を使う、という感覚で付き合っていけばいいという形にシフトしている。
一昔前の、姥捨て山の感覚は、もう古いのです。
私はママとパパが一番バランスよく、幸せな時間がたくさん過ごせる環境を
作る手伝いをしている。
ずっと家にいることが幸せでなくなってきているから。
一番感謝すべきことは、私たちには施設を使うという選択肢があること。
パパの不安が少しでも取れて、たくさんママと幸せな時間を過ごしてくれることを
心から願って。